【実録版】パワハラを受けた人が、Wordの画面サイズを25%にまで縮小して作業していた。
三度ほど転職経験がありますが、以前私が居た職場ではパワハラが横行しておりまして。
パワーハラスメントとは?
という点はもうみなさんお馴染みだと思うので改めて詳述することはしませんが、厚労省の定義によりますとこうなります。
職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義をしました。
この「優越的力関係」という得体のしれないものを背景にして行われるのがパワハラの悩ましいところ。会社の上下関係、大学の先輩後輩、色々とありますよね。優越的力関係を発揮する場面は。
フラットな組織がいい、などと世間では言われることもあります。
以前の職場は、代表者を頂点としたフラットな組織。職制は存在せず、言うなれば、皆平社員ですね。
暴力的なハラスメントを行使する職場もあるようですが、私の以前の職場は殴る蹴るの暴力は一切ありません。
言葉の暴力、それと間接的な暴力が専門です。
例えば、代表者であるボスは機嫌が悪いと、意図的に書類を机の上に叩きつける、大きな音を立てて椅子をしまう、といったことを平気でやります。
常に職場はピリピリとした緊張感に包まれておりまして。
手持ち無沙汰な時は、職員の後ろをぐるぐるグルグル1日中回ったりすることも珍しくありませんでした。今考えれば、あれは見回り作業だったんでしょうねえ。
そんな状況の職場ですから、パワハラに耐えかねてメンタルを壊していく方々を複数見てきました。
見てきた、というのは文字どおり、Lookをしていただけ。その状況を見かねて職場改善のために立ち上がった、という勇猛果敢なことでは全くありません。
ああー、パワハラに屈してしまった人はこうなるのか?
Wordで作る文書の画面が小さくなる。
何を言っているかよく分かりませんよね。
Microsoftの書類作成ソフト、みなさんが仕事で使っているあのWordです。
Wordって作成サイズを拡大縮小できますよね。
Word で画面の表示を拡大/縮小する方法
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/882552
仕事でWordを使っている方でしたら割とよく使うと思います。モニターサイズに合わせたり、複数ページを表示したい場合など。
で、パワハラと直接対峙していた方のPCの画面を見てみると、
Wordの画面のサイズを25%に縮小して文書を作っている。
それに気が付いたのです。
デスクトップのほんの端っこにWord文書が置かれているわけですよ。
これ、作った文書を眺めているだけで、実際これで作っているのかと思ったのですが、そのサイズで作れているわけです。25%表示のままで文字入力をしているから、当人には見えているのでしょう。
なぜ、それほどまでに縮小しているかというと。
社長や他のスタッフから内容を見られないため、何をしているのかを知られないために、極限まで縮小しているんですね。
確かに、自分も後ろに回られて監視されるのは嫌で嫌で仕方なかったけれども、しゃーないと思って我慢してた。
それが耐えきれないレベルになると、画面サイズ縮小という所作になるのかなあと思っていたところ、実は。
もう一人のスタッフが同じように縮小することを始めまして。
縮小して作業するだけじゃないな、彼は。
常に周りを伺うように落ち着きなく仕事をするようになったんですね。
誰かが後ろを通ろうものなら、レーダーアンテナのようにその人をロックオンして離れるまで見続ける、といったように。
組合もない小さな職場ですし、助けを呼ぼうにもどうしたらよいか分からない職場。
助けを呼ぼう、という「正常」な感覚が残されているうちになんとかすれば良かったのですが、”他人を助ければ自分がやられる”といった学生時代にいじめにも似た雰囲気に包まれまくっていたのでどうすることも出来なかったというのが実情です。
Wordの画面サイズを縮小しても文字が見えるほどに神経が鋭敏になっていたのか分かりませんが、嫌な感覚を与えているという実感がよりパワハラを実行している人間の「ガソリン」になっている点が本当に悩ましいです。
Wordの画面サイズ縮小とパワハラ被害との間に因果関係はありません。
もしも職場で、通常の感覚では小さすぎるほどの画面で作業されている方がいらしたら何らかの事由でメンタルが疲れてしまってるのかもしれません。
個人で支援できることが限られますし、やぶへびになる恐れもありますが、国の機関の支援を仰ぐのも一つの方法です。
また、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組として厚労省でも以下の提案がなされています。
1)社会的気運を醸成するための周知・啓発
下記の媒体を通じて、企業の方、労働者の方双方に向けて、この問題の重要性や取組の方法についての情報を発信しています。
・ポータルサイト「 あかるい職場応援団 」や twitter アカウント の運営
・ポスターやリーフレットの配布
2)労使の取組の支援
・企業向けのパワーハラスメント対策導入マニュアルの策定
・上記マニュアルを活用したパワーハラスメント対策導入セミナーの全国での開催
情報発信、情報提供の域を出ない施策だとは思いますが、パワーハラスメントが常識化している組織について、実はその「常識」は誤っていると知ってもらうのもパワハラ改善への第一歩かなと思います。
- 作者: マイケル・E.ガーバー,Michael E. Gerber,原田喜浩
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今でも当時のことを仕事仲間と話すことがあります。
メンタルをやられる前に自分に無理を課して離脱した仲間。
当時を想い返すだけでも、心の琴線に触れ、鳥肌が立ち、頭がぼーっとする感覚を覚えます。
離脱して二年になるけど未だにそうだからね。根深いよ、本当にパワハラは。